ASDの子が「できない」と泣いて諦めてしまうとき、親ができる自己肯定感を守る関わり方

ASDの子どもが「できない」と泣いて諦めてしまうとき、大切なのはスモールステップで課題を細分化し、「できた」という小さな成功体験を積み重ねることです。視覚的な手がかりや具体的な言葉で手順を示し、子ども自身が見通しを持てるようにすることで、不安を減らしながら自己肯定感を守ることができます。得意なことや好きなことから始め、そこに関連づけて新しい経験を広げていくアプローチが効果的です。 「ASDの子どもが耳をふさぐ・服を嫌がる理由と、家庭でできる感覚過敏への5つの対処法」もあわせてご覧ください。

「折り紙ができないから、もうやらない」「縄跳びが跳べなくて、もう学校に行きたくない」――そんなふうに子どもが泣いて諦めてしまう姿を見ると、親としてどう声をかければいいのか迷ってしまうことがあるかもしれません。特にASD(自閉スペクトラム症)の子どもは、感覚や認知の特性によって一般的な方法ではうまくいかない場面があり、「自分はできない子だ」という思いを抱えてしまいがちです。

子どもが何かに挑戦しようとする前に「できないからやらない」と言ったり、ちょっとした失敗で大泣きして次の機会を拒否したりする背景には、過去のつらい経験や、見通しが持てないことへの強い不安があります。この不安を和らげ、子どもが「やってみよう」と思える環境をどう作るかが、自己肯定感を守るための鍵になります。本記事では、ASDの特性を理解したうえで、家庭でできる具体的な関わり方や、得意なことを伸ばすための視点を詳しく解説します。

目次

ASDの子どもが「できない」と感じやすい理由

感覚や認知の特性が課題のハードルを上げる

ASDの子どもは、音や光、触覚といった感覚情報の処理に独特の特性を持つことがあります。たとえば教室のざわざわした音が気になって集中できなかったり、手に絵の具がつく感覚が強く不快で工作を続けられなかったりします。こうした感覚の過敏さや鈍感さは、周囲からは「やる気がない」「わがままだ」と誤解されることもありますが、本人にとっては非常に強い負担なのです。

また、ASDの特性として、複数の情報を同時に処理したり、抽象的な指示を理解したりすることが苦手な場合があります。「ちゃんとやりなさい」「もう少しがんばって」といった曖昧な声かけは、子どもにとって何をどうすればいいのか分からず、混乱のもとになります。こうした特性が積み重なると、挑戦する前から「できない気がする」という不安が強くなり、諦めのスイッチが早く入ってしまいます。

過去の失敗体験が「どうせ無理」という思いを育てる

子どもが何かにチャレンジして「失敗した」と感じた記憶は、ASDの特性によって強く残ることがあります。記憶の中で失敗体験がくり返し再生され、「また同じことになるかもしれない」という予期不安を生みます。特に、周囲から「どうしてできないの」と責められたり、友達と比較されたりした経験があると、その記憶が強固になり、新しいことへの挑戦をますます避けるようになります。 「「言葉が遅い」と感じたら最初にすべきこと|3歳・4歳で相談できる窓口と家庭でできる関わり方」もあわせてご覧ください。

ある小学2年生の男の子は、運動会のリレーで転んでしまった経験から、それ以降体育の時間になると「お腹が痛い」と言って保健室へ行くようになりました。親御さんは「また始まった」と思われたそうですが、後日担任の先生と話し合い、「転んだこと」よりも「みんなに笑われた感じがした」ことが深く傷ついていたことがわかりました。その後、体育の前に担任が「今日は走らなくてもいいよ」と事前に伝え、ボール拾いなどの役割を用意したことで、少しずつ参加できるようになったそうです。

見通しが持てないと不安が高まり動けなくなる

ASDの子どもは、これから何が起こるのか、どういう手順で進めればいいのかといった見通しが持てないと、強い不安を感じます。「やってみればわかるよ」「とりあえずやってみよう」という声かけは、定型発達の子どもには励ましになることもありますが、見通しを必要とするASDの子どもにとってはかえって不安を煽ることがあります。

見通しが持てないまま活動に参加すると、途中で予想外のことが起きたときにパニックになったり、フリーズして動けなくなったりします。その経験が「やっぱりできなかった」という記憶として残り、次への意欲を削いでしまうのです。逆に言えば、事前に何が起こるかを具体的に伝え、手順を視覚的に示してあげることで、子どもは安心して挑戦できるようになります。 「自閉症でパニックになる理由と、それを防ぐための具体的な手段」もあわせてご覧ください。

自己肯定感を守るために家庭でできる関わり方

スモールステップで「できた」を積み重ねる

「自転車に乗れるようになる」という目標があったとき、いきなりペダルをこいで走らせようとするのではなく、まずは「またがって座る」「ハンドルを握る」「足で地面を蹴って進む」といった小さなステップに分けて進めます。これがスモールステップの考え方です。ASDの子どもにとって、大きな目標は漠然としていて不安が強くなるため、細かく区切った小さな課題にすることで、「今日はここまでできた」という達成感を感じやすくなります。

たとえば、工作が苦手な子どもに対しては、「作品を完成させる」ことをゴールにするのではなく、「紙を1枚折る」「のりを1か所つける」といった1つの動作ごとに「できたね」と声をかけることが大切です。この積み重ねが、子どもの中に「自分にもできることがある」という感覚を育てていきます。

スモールステップを設定するときは、大人が先回りして決めるのではなく、子どもが「これならできそう」と思えるレベルを一緒に考えることがポイントです。本人が納得できる範囲での挑戦が、自己肯定感を守る土台になります。

視覚的な手がかりと具体的な言葉で伝える

ASDの子どもは、耳で聞いた情報よりも目で見た情報のほうが理解しやすい傾向があります。言葉だけで「片付けて」と言われるよりも、写真やイラストで「おもちゃはこの箱に入れる」と示されたほうが、何をすればいいのかが明確になります。手順表や絵カード、タイマーなどの視覚的なツールを活用することで、子ども自身が見通しを持って行動できるようになります。

また、言葉で伝えるときも、抽象的な表現は避けて具体的に伝えることが重要です。「ちゃんとやって」ではなく、「鉛筆を持って、名前を書こうね」と手順を一つひとつ区切って伝えます。否定的な言い方ではなく、肯定的な表現で「何をすればいいか」を示すことで、子どもは安心して動けるようになります。

弊社が関わった事例では、朝の準備がなかなか進まなかった年長の女の子に対して、「着替える」「歯を磨く」「かばんを持つ」といった手順を写真で示したボードを作成したところ、親御さんが何度も声をかけなくても自分で準備を進められるようになったケースがありました。視覚的な手がかりがあることで、子どもは見通しを持ち、自分で動けるという自信を育んでいったのです。

失敗ではなく「やってみた」ことを認める

結果が思い通りにならなかったとき、子どもはすぐに「失敗した」と思い込んでしまいます。このとき大人がどんな言葉をかけるかが、子どもの自己肯定感を大きく左右します。「できなかったね」「もっとがんばらないと」といった言葉は、子どもにとって自分を否定されたように感じられます。

そうではなく、「挑戦したこと」そのものを認める言葉をかけることが大切です。「ここまでできたね」「最後までやろうとしてくれたね」「途中で諦めなかったね」といった声かけは、子どもに「自分の努力は無駄じゃなかった」という安心感を与えます。結果ではなくプロセスを評価することで、子どもは「また挑戦してみよう」と思えるようになります。

また、親自身が完璧を求めないことも重要です。「できないことがあってもいい」「苦手なことがあるのは当たり前」という姿勢を見せることで、子どもは自分の特性を否定せずに受け入れられるようになります。詳しくは「運動が苦手な子どもに無理させなくていい|発達に合わせた運動遊びで自信を育てる方法」で解説しています。

得意なことを見つけて強みとして伸ばす視点

興味や関心がある分野に注目する

ASDの子どもは、特定の分野に対して強い興味や集中力を発揮することがあります。電車、恐竜、昆虫、キャラクター、数字、パターンなど、対象は様々ですが、その分野に関しては驚くほどの知識を持っていたり、長時間没頭できたりします。この「好き」や「得意」は、子どもにとって自信の源であり、新しい学びや経験への入り口にもなります。

たとえば、電車が大好きな子どもであれば、駅名を覚えることで地理の学習につなげたり、時刻表を読むことで時間の概念を学んだりすることができます。数字が好きな子どもには、数を数える遊びから計算へ、さらにはプログラミングのような論理的思考へと広げていくことも可能です。興味のある分野をきっかけに、苦手な活動にも少しずつ挑戦できるようになるケースは多くあります。

ある小学3年生の男の子は、友達とのコミュニケーションが苦手でしたが、マインクラフトというゲームが大好きでした。放課後等デイサービスでマインクラフトを使った活動を取り入れたところ、ゲーム内で友達と協力して建物を作る経験を通じて、少しずつ他者と関わる楽しさを感じられるようになったそうです。好きなことが、社会性を育む土台にもなったのです。

得意なことを活かして自己肯定感を育てる

子どもが何か得意なことや好きなことを持っているとき、それを周囲の大人が認め、伸ばしていこうとする姿勢が、子どもの自己肯定感を大きく高めます。「〇〇ちゃんは電車のこと、本当に詳しいね」「この絵、色の使い方がすごく工夫されているね」といった具体的なフィードバックは、子どもに「自分には価値がある」という感覚を育てます。

得意なことを活かす場を意図的に作ることも有効です。たとえば家庭内で「虫博士」として弟や妹に図鑑を見せながら説明する役割を任せたり、好きなキャラクターの絵を描いて家族に見せる機会を設けたりすることで、子どもは「自分の得意なことが誰かの役に立った」「認められた」という経験を積むことができます。

LaZoの支援現場でも、レゴブロックが得意な子どもに対して、完成した作品を他の子どもたちに紹介する時間を設けたところ、それまで自信がなかった子どもが「次はもっとすごいのを作りたい」と意欲的になり、他の活動にも前向きに取り組むようになった事例があります。得意なことは、子どもの心のエネルギーを充電する場所なのです。 「運動療育の重要性 | 発達凸凹の子どもたちに必要な運動とは?」もあわせてご覧ください。

苦手を無理に克服させるのではなく「違う方法」を探す

苦手なことを無理にできるようにしようとすると、子どもは「自分はダメな子だ」という思いをますます強めてしまいます。そうではなく、「この方法が難しいなら、別の方法でやってみよう」という柔軟な視点を持つことが大切です。たとえば、字を書くのが苦手であれば、タブレットやパソコンで入力する方法を取り入れる。ハサミがうまく使えないなら、手でちぎる工作にする。こうした工夫によって、子どもは「できない」ではなく「できる方法がある」と感じられるようになります。

ASDの特性は、弱みとして見られることが多いですが、視点を変えれば強みになることもあります。細部にこだわる特性は、正確さが求められる作業で力を発揮します。同じことを繰り返すのが好きな特性は、練習や反復学習において集中力を発揮します。こうした特性をどう活かすかを考えることが、子どもの可能性を広げることにつながります。

日常生活で実践できる環境調整と声かけのコツ

予告と選択肢で子どもに安心感を与える

ASDの子どもにとって、突然の変更や予想外の出来事は大きなストレスになります。そのため、事前に予定や手順を伝えることが、安心して行動するための土台になります。「あと5分でご飯だよ」「今日は〇〇に行った後に買い物するよ」といった具体的な予告をすることで、子どもは心の準備ができます。

また、選択肢を提示することも有効です。「今日は公園に行く?それとも家で遊ぶ?」「おやつはリンゴとバナナ、どっちがいい?」といったように、子ども自身が選べる場面を作ることで、自分でコントロールできている感覚を持つことができます。この感覚は、自己肯定感を育てる上でとても大切です。

ある家庭では、週末の予定を金曜日の夜に子どもと一緒にホワイトボードに書き出すことを習慣にしました。子どもは「明日は何をするか」が視覚的にわかることで、朝からスムーズに動けるようになり、親御さんも「言うことを聞かない」と感じることが減ったそうです。予告と視覚化の組み合わせが、家族全体の安心につながった事例です。

子どものペースを尊重し比較しない

「同じ年齢の子はできているのに」「お兄ちゃんはできたのに」といった比較は、子どもの自己肯定感を大きく傷つけます。発達のペースや得意・苦手は一人ひとり違います。特にASDの子どもは、凹凸が大きく、ある分野では年齢以上の力を発揮する一方で、別の分野では支援が必要なことがあります。この凹凸は個性であり、比較の対象にすべきものではありません。

子どものペースを尊重するということは、「待つ」ことでもあります。焦らず、子どもが「やってみよう」と思えるタイミングを待つこと。そして、小さな変化や成長に気づいて言葉にすることが、子どもに「自分は見守られている」という安心感を与えます。詳しくは「友達と遊べない」ASDの子どもに見られるコミュニケーションの特徴と家庭でできる具体的な関わり方で解説しています。

感覚特性に配慮した環境を整える

ASDの子どもには、音・光・触覚・匂いなどの感覚に対する過敏さや鈍感さがあることが多いです。たとえば蛍光灯のちらつきが気になって集中できない子どもには、間接照明を使う。大きな音が苦手な子どもには、イヤーマフやノイズキャンセリング機能のあるイヤホンを用意する。こうした配慮が、子どもの「できない」を「できる」に変えることがあります。

また、触覚が敏感な子どもに対しては、服のタグを切る、縫い目が平らな衣服を選ぶ、靴下の素材を変えるといった工夫が、日常生活のストレスを大きく減らします。感覚の負担が減ることで、子どもは本来持っている力を発揮しやすくなります。家庭での環境調整について、詳しくは「感覚過敏の理解と対処:日常生活や仕事に影響を及ぼす症状とは?」で紹介しています。

園や学校との連携で子どもの成長を支える

担任や支援者と情報を共有する

子どもが家庭と園・学校の両方で安心して過ごせるようにするためには、大人同士の連携が欠かせません。担任の先生や支援者に、子どもの特性や得意なこと、苦手なこと、安心できる環境について伝えることで、一貫した支援が可能になります。「こういう声かけが効果的でした」「視覚的な手がかりがあると落ち着きます」といった具体的な情報は、現場での支援に直接役立ちます。

また、園や学校での様子を定期的に聞くことで、家庭では見えない子どもの姿を知ることができます。「最近、友達と一緒に遊ぶ時間が増えてきました」「給食のときに自分から配膳を手伝ってくれました」といった小さな変化を共有してもらうことで、親も子どもの成長を実感でき、励みになります。

LaZoでは、保育所等訪問支援という形で、専門スタッフが実際に園や学校を訪問し、子どもの様子を観察したり、先生と一緒に支援方法を考えたりする取り組みを行っています。こうした連携によって、子どもが安心して集団生活を送れる環境が整っていきます。

個別の支援計画を活用する

幼稚園や学校では、支援が必要な子どもに対して「個別の支援計画」や「個別の教育支援計画」を作成することがあります。この計画には、子どもの得意なことや苦手なこと、具体的な支援の方法、目標などが記載されます。保護者も計画の作成や見直しに関わることができるため、家庭での様子や希望を伝える場として活用することが大切です。

支援計画があることで、担任が変わったり進級したりしても、支援の内容が引き継がれやすくなります。また、放課後等デイサービスなどの外部機関とも計画を共有することで、より一貫した支援が可能になります。計画は一度作ったら終わりではなく、子どもの成長に合わせて定期的に見直すことが重要です。

周囲の理解を広げるための工夫

ASDの特性は外見からはわかりにくいため、周囲から「しつけができていない」「わがままだ」と誤解されることがあります。こうした誤解を減らすためには、必要に応じて周囲に特性について伝えることも一つの方法です。たとえば、学校の保護者会で「うちの子は音に敏感で、運動会の練習のときに耳を塞ぐことがあります」と簡単に説明することで、他の保護者の理解を得られることがあります。

もちろん、どこまで伝えるかは家庭ごとの判断ですが、子どもが安心して過ごせる環境を作るために、必要な情報を適切に共有することは大切です。また、子ども自身が自分の特性を理解し、「困ったときにはこうしてほしい」と伝えられるようになることも、長期的には重要な力になります。

専門機関や支援サービスを活用する

児童発達支援や放課後等デイサービスの役割

家庭だけで子どもの成長を支えるには限界があります。専門的な知識を持ったスタッフがいる児童発達支援や放課後等デイサービスを利用することで、子どもに合った支援を受けることができます。これらのサービスでは、個別の支援計画に基づいて、運動療育、SST(ソーシャルスキルトレーニング)、学習支援、感覚統合など、様々なプログラムが提供されています。

たとえば運動が苦手な子どもには、楽しく体を動かす経験を通じて「できた」という感覚を育てる運動療育が有効です。友達とのやり取りが難しい子どもには、ロールプレイやゲームを通じてコミュニケーションの練習をするSSTが役立ちます。こうした活動を通じて、子どもは安心できる環境の中で少しずつ自信をつけていきます。詳しくは「放課後等デイサービスとは?: 児童発達支援の重要性と役割」で解説しています。

相談先を知っておくことの大切さ

子どもの発達について気になることがあったとき、どこに相談すればいいのかわからないという声はとても多いです。まずは、自治体の子育て支援センターや発達相談センター、保健センターなどに連絡してみることが第一歩です。こうした公的な窓口では、専門の相談員が話を聞き、必要に応じて医療機関や療育施設を紹介してくれます。 「ソーシャルスキルトレーニング:子どもが社会で輝くための第一歩」もあわせてご覧ください。

また、地域によっては発達障がい者支援センターがあり、子どもだけでなく保護者への相談支援も行っています。「こんなことで相談していいのかな」と迷う必要はありません。小さな困りごとでも、早めに相談することで解決の糸口が見つかることがあります。一人で悩みを抱え込まず、専門家の力を借りることが、親自身の心の負担を軽くすることにもつながります。

LaZoが提供する包括的な支援

LaZoでは、0歳から18歳までの子どもとその家族を対象に、児童発達支援、放課後等デイサービス、訪問看護、保育所等訪問支援、フリースクールなど、多様なサービスを一貫して提供しています。子どもの発達段階や特性に合わせて、途切れることなく支援を受けられる体制が整っているため、家族は安心して相談することができます。

たとえば、言葉の発達が気になる乳幼児期には児童発達支援で個別療育を受け、小学校に入学してからは放課後等デイサービスで学習支援やSSTを利用し、中学生になったらフリースクールで居場所を確保する、といったように、成長に合わせた切れ目のないサポートが可能です。また、病院や学校、行政とも連携し、子どもを中心としたチーム支援を実現しています。

子どもが「できない」と泣いて諦めてしまうとき、その背景には特性による困難さと、過去の経験が積み重なっています。家庭でできる小さな工夫と、専門機関との連携が、子どもの自己肯定感を守り、新しい挑戦への一歩を支えます。

親自身の心を守ることも大切

完璧な親でなくていい

子どもが「できない」と泣く姿を見るたびに、「自分の育て方が悪いのではないか」「もっとうまくやれるはずなのに」と自分を責めてしまう親御さんは少なくありません。しかし、子どもの発達の特性は、親の育て方が原因ではありません。ASDは生まれつきの脳の特性であり、誰かのせいではないのです。

親自身が疲れているときや、気持ちに余裕がないときは、無理をせずに休むことも必要です。家事を少し手抜きしても、子どもとの時間を優先しても、誰も責める権利はありません。親が心身ともに健康でいることが、子どもにとっても一番の安心材料です。

同じ悩みを持つ仲間とつながる

同じような悩みを持つ保護者と話すことで、「自分だけじゃないんだ」と感じられることがあります。地域の親の会やオンラインのコミュニティ、SNSのグループなどを活用して、情報交換や気持ちの共有をすることは、孤独感を和らげる大きな力になります。

また、専門機関のスタッフや相談員に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。「こんなことで相談していいのかな」と思わず、困ったときには声を上げてください。支援者は、保護者の話を聞くことも大切な役割だと考えています。

小さな変化を喜び合う

子どもの成長は、日々の小さな積み重ねです。「今日は泣かずに最後までやれた」「初めて自分から『やってみる』と言った」「苦手だった食べ物を一口食べた」――こうした小さな変化を、家族で喜び合うことが、子どもにも親にも前向きなエネルギーを与えます。

成長のスピードは一人ひとり違います。焦らず、比較せず、目の前の子どもの「今」を大切にすることが、自己肯定感を育む最も確かな道です。

よくある質問

ASDの子どもが「できない」と泣いたとき、どう声をかければいいですか?

まずは子どもの気持ちを受け止め、「悔しかったね」「難しかったね」と共感する言葉をかけてください。その後、「ここまではできたね」とできた部分を具体的に伝え、「次はこうしてみようか」と小さな次のステップを一緒に考えることが大切です。結果ではなくプロセスを認めることで、子どもは安心できます。

得意なことが見つからない場合はどうすればいいですか?

焦らず、日常の中で子どもが少しでも興味を示すものや、機嫌よく取り組んでいる活動を観察してみてください。絵を描く、ブロックを並べる、音楽を聴く、動物に触れるなど、小さなきっかけが得意なことにつながります。また、児童発達支援や放課後等デイサービスのスタッフに相談することで、新しい発見があることもあります。

スモールステップの設定が難しく感じます。どう分ければいいですか?

大きな目標を細かく区切るときは、「子どもが1人でできそうなこと」を最小単位にすることがポイントです。たとえば「靴を履く」であれば、「靴を手に取る」「足を入れる」「マジックテープを留める」と分解します。子どもと一緒に「今日はここまでやってみようか」と決めることで、無理のないステップが見えてきます。

園や学校の先生にどこまで子どもの特性を伝えるべきですか?

子どもが安心して過ごすために必要な情報は、できるだけ具体的に伝えることをおすすめします。たとえば「大きな音が苦手で耳を塞ぐことがあります」「視覚的な手がかりがあると理解しやすいです」といった内容です。診断名の有無にかかわらず、困りごとや工夫していることを共有することで、先生も適切な配慮がしやすくなります。

児童発達支援や放課後等デイサービスはどうやって利用できますか?

まず、お住まいの自治体の障害福祉課や子育て支援窓口に相談し、受給者証の申請を行います。受給者証が発行されると、サービスを利用できるようになります。申請には診断書や意見書が必要な場合がありますが、グレーゾーンの子どもでも利用できることがあるため、まずは相談してみることが大切です。

子どもが何度も同じ失敗を繰り返してしまいます。どう対応すればいいですか?

同じ失敗が繰り返される場合、方法や環境が子どもに合っていない可能性があります。視覚的な手がかりを増やす、手順を変える、課題のレベルを下げるなど、アプローチを見直してみてください。また、失敗そのものを責めるのではなく、「次はどうすればうまくいくかな」と一緒に考える姿勢が、子どもの学びを支えます。

親自身が子どもの特性を受け入れられず、つらいときはどうすればいいですか?

子どもの特性を受け入れるには時間がかかることもあります。まずは親自身が誰かに気持ちを話すことが大切です。地域の親の会、相談支援専門員、カウンセラーなど、話を聞いてくれる場を利用してください。親が自分の気持ちを整理し、心の余裕を取り戻すことが、結果的に子どもへの関わり方にも良い影響を与えます。

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