ADHDの子どもが学校でトラブルを起こしたとき、担任の先生には「具体的な行動の記録」「家庭での工夫」「診断や相談状況」の3点を整理して伝えることが重要です。感情的にならず、先生と協力して子どもを支える姿勢を示すことで、学校側も具体的な配慮や支援策を検討しやすくなります。定期的な面談を通じて情報を共有し、学校と家庭が一貫した対応をとることが、子どもの安定した学校生活につながります。 「ADHDの子どもへの接し方|親がやりがちなNG対応と今日から使える声かけのコツ」もあわせてご覧ください。
学校から連絡が来るたびに胸が苦しくなる保護者の葛藤
「また担任の先生から電話が…」。スマートフォンの着信画面を見るたびに、心臓がドキッとする経験はありませんか。ADHDの特性を持つ子どもが学校でトラブルを繰り返すと、保護者は「また何かやらかしたのでは」「先生に迷惑をかけている」という不安と罪悪感に押しつぶされそうになります。子どもが友達を押してしまった、授業中に教室を飛び出した、先生の指示を無視してしまった…。こうした報告を受けるたびに、家庭でどれだけ言い聞かせても改善されない現実に、無力感を覚える方も少なくありません。 「発達特性を持つ子どもが登園拒否!行き渋りの原因と今すぐできる対策」もあわせてご覧ください。
2026年現在、文部科学省の調査によれば、通常学級に在籍する児童生徒のうち学習面または行動面で著しい困難を示す子どもの割合は8.8%に上ります。その中にはADHDの特性を持つ子どもも多く含まれており、学校現場でも理解と支援の必要性が広く認識されるようになってきました。しかし、実際には担任の先生の知識や経験にばらつきがあり、「どう伝えれば理解してもらえるのか」という点で悩む保護者が後を絶ちません。 「ASDの子どもが耳をふさぐ・服を嫌がる理由と、家庭でできる感覚過敏への5つの対処法」もあわせてご覧ください。
本記事では、ADHDの子どもが学校生活で直面しやすいトラブルの背景を整理したうえで、担任の先生に「伝わる」「動いてもらえる」具体的な伝え方と、学校との効果的な連携方法を解説します。保護者が一人で抱え込まず、先生と協力して子どもを支えるための道筋を、実例とともにお伝えします。
ADHDの子どもが学校でつまずきやすい場面とその理由
授業中にじっと座っていられない多動性の影響
ADHDの子どもにとって、45分間じっと椅子に座り続けることは想像以上に困難な課題です。多動性の特性により、体を動かしたい衝動を抑えることが難しく、授業中に立ち歩いたり、椅子をガタガタ揺らしたり、隣の子にちょっかいを出したりする行動が見られます。これは「わざと授業を妨害しよう」という意図ではなく、脳の前頭前野における実行機能の発達がゆっくりであるために、衝動を抑制するブレーキが効きにくい状態なのです。
小学2年生のAくんは、授業中に何度も席を立ってしまい、担任の先生から「落ち着きがない」と指摘されていました。保護者が観察したところ、特に算数の授業で頻繁に立ち歩く傾向があることが分かりました。実は、Aくんは計算プリントに取り組む時間が長く続くと集中が途切れやすく、体を動かすことで気持ちをリセットしようとしていたのです。担任と相談のうえ、プリントを半分ずつに分けて取り組み、途中で「お手伝い係」として配布物を配る役割を与えることで、授業中の立ち歩きが大幅に減少しました。
友達とのトラブルに発展しやすい衝動性
衝動性の特性は、対人関係においても大きな影響を及ぼします。思ったことをすぐ口に出してしまう、順番を待てずに割り込んでしまう、カッとなって手が出てしまうといった行動は、周囲から「乱暴な子」「わがままな子」と誤解されやすく、友達関係のトラブルにつながります。本人は悪意がなくても、結果的に相手を傷つけてしまい、自己肯定感が下がる悪循環に陥ることも少なくありません。
小学4年生のBさんは、友達の発言に対してすぐに否定的な言葉を返してしまい、クラスで孤立しがちでした。保護者が担任と面談したところ、Bさんは「正しいことを伝えたい」という気持ちが強く、相手の気持ちよりも事実を優先してしまう傾向があることが分かりました。学校のスクールカウンセラーと連携し、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を通じて「相手の気持ちを想像してから話す」練習を重ねた結果、友達との関係が少しずつ改善していきました。詳しくは「ソーシャルスキルトレーニング:子どもが社会で輝くための第一歩」で解説しています。
忘れ物や提出物の遅れが続く不注意の特性
不注意の特性を持つ子どもは、持ち物の管理や提出物の期限を守ることに大きな困難を抱えています。「連絡帳を書き忘れた」「宿題をやったのにランドセルに入れ忘れた」「明日の持ち物を準備する途中で別のことに気を取られた」といった状況が日常的に起こります。これは「やる気がない」「だらしない」のではなく、注意を持続させたり複数のタスクを同時に管理したりする脳の機能に特性があるためです。
担任の先生からは「何度注意してもできない」「本人の努力不足」と見られがちですが、実際には視覚的なサポートやルーティンの工夫によって大きく改善するケースがあります。小学3年生のCくんは、毎日のように忘れ物をして叱られていましたが、家庭で「明日の準備チェックリスト」を作成し、準備が終わったら親がチェックする仕組みを導入したところ、忘れ物が週1回程度まで減少しました。この取り組みを担任に伝えたことで、学校でも連絡帳に視覚的なリマインダーを貼る配慮をしてもらえるようになりました。
担任の先生に伝える前に整理しておきたい3つのポイント
子どもの行動を具体的に記録する
「うちの子、ADHDなんです」とだけ伝えても、先生は具体的にどう対応すればよいか分かりません。まず必要なのは、どんな場面でどんな行動が起きているのかを具体的に記録することです。「いつ」「どこで」「何が起きたか」「その前後の状況」を時系列で整理することで、トラブルのパターンや引き金(トリガー)が見えてきます。
たとえば、「給食の時間になると教室から出て行ってしまう」という行動があった場合、その背景には感覚過敏による匂いや音への苦痛、給食当番の順番待ちが苦手、特定の食材への強いこだわりなど、複数の要因が考えられます。詳しくは「感覚過敏の理解と対処:日常生活や仕事に影響を及ぼす症状とは?」で解説しています。記録をもとに「こういう場面で困っているようです」と伝えることで、先生も具体的な配慮を検討しやすくなります。
記録は箇条書きやメモ程度で構いません。スマートフォンのメモアプリや育児日記に、気づいたことを書き留めておくだけでも十分です。数週間分の記録が溜まると、「月曜日の朝は特に落ち着かない」「体育の後の授業は集中できている」といった傾向が見えてきます。こうしたデータは、先生との面談で非常に有効な材料となります。
家庭で試している工夫や対応を伝える
学校でのトラブルに対して、家庭でどんな工夫をしているかを伝えることも重要です。「何もしていない」と思われると、「家庭の協力が得られない」という印象を与えかねません。逆に、「家ではこんな声かけをしています」「こんなルールを作って取り組んでいます」と伝えることで、保護者の努力や関心が伝わり、先生も協力的な姿勢を示しやすくなります。
たとえば、「朝の支度がスムーズにできるよう、イラスト付きの手順表を壁に貼っています」「宿題は15分ごとに休憩を挟むようにしています」といった具体例を共有することで、先生も学校で同様の配慮を検討できます。また、「この方法は効果があった」「これは逆効果だった」という情報も、先生にとっては貴重なヒントになります。 「運動が脳の発達を促すって本当?子どもの認知機能を育てる遊び方と関わり方のヒント」もあわせてご覧ください。
家庭での工夫を伝える際には、「先生にもこうしてほしい」と一方的に要求するのではなく、「家ではこんなふうにやっていますが、学校ではどうでしょうか」と相談する姿勢が大切です。学校と家庭で異なるアプローチをとると、子どもが混乱してしまうこともあるため、できるだけ一貫した対応をとることが望ましいのです。
診断の有無と相談状況を正確に伝える
ADHDの診断を受けているかどうか、現在どこに相談しているかを先生に伝えることも重要です。診断がある場合は、医師の診断書や心理検査の結果を共有することで、先生はより具体的な支援策を検討できます。診断がまだない場合でも、「現在、小児科(または児童精神科)に通院中です」「発達支援センターで相談しています」と伝えることで、専門的なサポートを受けていることが伝わります。
診断の有無に関わらず、放課後等デイサービスや児童発達支援を利用している場合は、その情報も共有しましょう。事業所のスタッフが作成した「個別支援計画」や「活動報告書」を先生に見せることで、子どもの特性や効果的な関わり方について、より深い理解を得られることがあります。詳しくは「放課後等デイサービスとは?: 児童発達支援の重要性と役割」で解説しています。
ただし、診断名を伝えることに抵抗がある場合は無理に開示する必要はありません。「発達の特性があると専門機関から言われています」「こういう場面で困りやすい傾向があります」といった伝え方でも十分です。大切なのは、子どもの困りごとを具体的に共有し、先生と協力して支援策を考える姿勢を示すことです。
担任の先生への具体的な伝え方とタイミング
学期初めの面談で早めに情報共有する
理想的なのは、新学期が始まってすぐの個人面談や家庭訪問のタイミングで、子どもの特性と配慮してほしい点を伝えることです。トラブルが起きてから慌てて伝えるよりも、事前に情報を共有しておくことで、先生も心の準備ができ、予防的な対応をとりやすくなります。「昨年度はこんなトラブルがありました」「こういう配慮をしていただいたら落ち着いていました」という実績を伝えることで、先生も具体的なイメージを持ちやすくなります。
新年度の面談では、前年度の担任から引き継ぎがある場合もありますが、引き継ぎの内容が不十分なこともあります。保護者自身が「引き継ぎノート」のようなものを作成し、過去の対応事例や効果的だった配慮をまとめておくと、毎年同じ説明を繰り返す負担が減ります。A4用紙1枚程度にまとめたものを、面談時に手渡すのも有効です。
トラブル発生時は感情を抑えて事実を伝える
学校でトラブルが起きたとき、保護者としては「また叱られた」「うちの子ばかり悪者にされている」と感情的になりがちです。しかし、感情的な言葉は先生との信頼関係を損ね、建設的な対話を妨げます。まずは深呼吸して、「今回のトラブルについて詳しく教えていただけますか」と、事実確認から始めましょう。
先生から説明を受けたら、「家でも様子を見てみます」「本人にも話を聞いてみます」と伝え、家庭での対応を約束します。その後、「こういう背景があったようです」「本人はこう感じていたようです」と、子どもの視点を補足する形で情報を共有すると、先生も「そういう事情があったのか」と理解を深めやすくなります。
このとき、「先生の対応が悪い」と責めるのではなく、「先生もお忙しい中で大変だと思います。一緒に考えさせてください」と協力を求める姿勢が重要です。先生も一人で30人以上の子どもを見ており、すべての子どもに完璧な対応をするのは現実的に困難です。保護者と先生が「チーム」として子どもを支える関係を築くことが、結果的に子どものためになります。
定期的な連絡ノートや面談で小さな成功も共有する
トラブルのときだけ連絡を取り合うのではなく、日常的なコミュニケーションの仕組みを作ることが大切です。連絡ノートや連絡帳に、学校での様子や家庭での工夫を簡潔に書き合うことで、子どもの小さな成長や変化を共有できます。「今日は宿題を自分から始めました」「給食を完食できたと喜んでいました」といったポジティブな情報も積極的に伝えましょう。
先生からも「今日は最後まで席に座れていました」「友達に優しい言葉をかけていました」といった報告があれば、家庭でも具体的に褒めることができます。こうした小さな成功体験の積み重ねが、子どもの自己肯定感を育て、問題行動の減少につながります。連絡ノートは毎日でなくても、週に1〜2回程度の頻度で十分です。
また、学期ごとや必要に応じて、改めて面談の機会を設けることも有効です。「最近こんな変化がありました」「新しい配慮を試してみたいのですが」と相談することで、支援の内容をアップデートしていくことができます。子どもの成長に合わせて、支援の方法も柔軟に見直していくことが重要です。
学校と連携するときに活用できる合理的配慮と支援制度
合理的配慮とは何か
2016年に施行された障害者差別解消法により、学校は障害のある子どもに対して「合理的配慮」を提供することが義務付けられました。合理的配慮とは、一人ひとりの困りごとに応じて、過度な負担にならない範囲で行われる調整や支援のことです。ADHDの子どもに対しては、座席の位置を前方や先生の近くにする、指示を個別に伝える、課題の量や時間を調整する、休憩時間を設けるといった配慮が考えられます。 「発達特性がある子の預け先、学童保育と放課後等デイサービスどう選ぶ?併用で叶える最適な環境づくり」もあわせてご覧ください。
合理的配慮は「特別扱い」ではなく、子どもが他の子と同じように学ぶために必要な「調整」です。保護者から「こういう配慮をお願いできませんか」と具体的に提案することで、学校側も検討しやすくなります。ただし、すべての要望が通るとは限らないため、学校の状況や他の児童への影響も考慮しながら、現実的な範囲で話し合うことが大切です。
合理的配慮を依頼する際には、「なぜその配慮が必要なのか」を具体的に説明することが重要です。たとえば、「座席を前方にしてほしい」だけでなく、「後方だと視界に入る情報が多く、注意がそれやすいため」と理由を添えることで、先生も納得して対応しやすくなります。また、配慮の効果を定期的に振り返り、必要に応じて調整していく姿勢も大切です。
個別の教育支援計画と個別の指導計画の活用
特別な支援が必要な子どものために、学校では「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」を作成することができます。個別の教育支援計画は、医療・福祉・教育などの関係機関が連携して、長期的な視点で支援を行うための計画です。個別の指導計画は、学校での具体的な指導内容や配慮事項を記したものです。
これらの計画は、保護者の同意のもとで作成されます。計画を作成することで、学校全体で情報が共有され、担任が替わっても一貫した支援が継続されやすくなります。また、計画には保護者の意見や希望も反映されるため、「こんな支援をしてほしい」という要望を具体的に伝える機会にもなります。
個別の教育支援計画や指導計画は、通常学級に在籍する子どもでも作成できます。「うちの子には必要ないかも」と遠慮せず、必要だと感じたら学校に相談してみましょう。特別支援教育コーディネーターという役割の先生が、多くの学校に配置されており、こうした相談の窓口となっています。
通級指導教室や特別支援学級の選択肢
通常学級での学習が難しい場合、週に数時間だけ通級指導教室に通い、個別の指導を受けるという選択肢もあります。通級指導教室では、ソーシャルスキルトレーニングや学習支援など、一人ひとりのニーズに合わせた指導が行われます。普段は通常学級で過ごし、必要な時間だけ通級するため、友達関係を維持しながら専門的な支援を受けられるメリットがあります。
また、特別支援学級という選択肢もあります。少人数で手厚い支援が受けられる一方で、通常学級との交流の機会が限られる場合もあります。どちらが子どもにとって最適かは、本人の特性や困りごとの程度、学校の体制、保護者の考えなど、さまざまな要素を総合的に判断する必要があります。詳しくは「【発達障がい】グレーゾーンの子どもに必要な支援策とは?」で解説しています。
通級や特別支援学級の利用を検討する際には、実際に見学に行き、指導の様子や雰囲気を確認することが大切です。また、子ども本人の気持ちも尊重し、「ここで勉強してみたい」と思えるかどうかを一緒に考えましょう。進路は一度決めたら変えられないわけではなく、状況に応じて柔軟に見直すことも可能です。
先生との信頼関係を築くために保護者が心がけたいこと
感謝の気持ちを言葉にして伝える
先生も人間です。日々多忙な中で、配慮や工夫をしてくれたときには、「ありがとうございます」「先生のおかげで落ち着いています」と感謝の言葉を伝えましょう。小さな感謝の積み重ねが、先生のモチベーションを高め、より積極的な支援につながります。連絡ノートや面談の際に、「先生が〇〇してくださったことで、子どもがこんなふうに変わりました」と具体的に伝えると、先生も手応えを感じられます。
逆に、批判や不満ばかりを伝えていると、先生も防衛的になり、協力的な関係が築きにくくなります。もちろん、問題があれば伝える必要はありますが、その際にも「先生を責める」のではなく「一緒に解決したい」という姿勢で臨むことが大切です。「先生も大変だと思いますが」「お忙しいところ恐縮ですが」といったクッション言葉を添えるだけでも、印象は大きく変わります。
先生の立場や学校の事情も理解する
保護者としては「うちの子を何とかしてほしい」という思いが強くなりがちですが、先生はクラス全体を見ており、他の子どもたちへの配慮も必要です。また、学校には予算や人員の制約もあり、すべての要望に応えられるわけではありません。こうした事情を理解したうえで、「できる範囲で構いません」「まずはこれだけでもお願いできませんか」と、柔軟な姿勢で相談することが大切です。
また、先生によってADHDに関する知識や理解の深さには差があります。ベテランの先生でも、発達障がいについての専門的な研修を受けていないこともあります。そうした場合には、保護者が情報提供者となり、「こういう本が参考になりました」「この研修資料が分かりやすかったです」と、先生に学びの機会を提供することも一つの方法です。
学校外の専門機関と連携する
学校だけで支援を完結させようとせず、医療機関や療育施設、発達支援センターなどの専門機関と連携することも重要です。専門機関からのアドバイスや支援計画を学校と共有することで、より専門的で効果的な支援が可能になります。また、保護者自身が専門家に相談することで、気持ちの整理ができたり、新たな視点を得られたりすることもあります。
放課後等デイサービスを利用している場合、事業所のスタッフが学校訪問をして情報共有することもできます。事業所での様子や効果的だった支援方法を先生に伝えることで、学校での対応に活かしてもらえることがあります。学校と家庭、そして専門機関が三位一体となって子どもを支える体制を作ることが、最も理想的な形です。
ADHDの特性については、正しい理解が進んでいる一方で、まだ誤解や偏見も残っています。詳しくは「ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性と診断基準」で解説しています。保護者が知識を深め、先生や周囲の大人と協力しながら、子どもにとって最適な環境を整えていくことが大切です。
家庭でできる学校生活をサポートする工夫
学校での出来事を聞き取る工夫
ADHDの子どもは、学校であったことを家で話すのが苦手な場合があります。「今日どうだった?」と聞いても「忘れた」「別に」としか答えないことも多いでしょう。そんなときは、質問の仕方を工夫してみましょう。「今日一番楽しかったことは?」「給食で何が出た?」「休み時間は誰と遊んだ?」など、具体的で答えやすい質問をすることで、会話が広がりやすくなります。
また、子どもが話したくないときに無理に聞き出そうとするのは逆効果です。リラックスしているタイミング、たとえばお風呂に入っているときや寝る前の布団の中など、子どもが安心して話せる環境を作ることも大切です。学校での困りごとを把握できれば、早めに先生と情報共有して対策を講じることができます。
翌日の準備を一緒に確認する習慣
忘れ物を減らすためには、寝る前に翌日の持ち物を一緒に確認する習慣を作りましょう。連絡帳や時間割を見ながら、「明日は図工があるから絵の具セットだね」「体育があるから体操服を入れたかな」と、一つひとつチェックします。最初は親が主導しても、慣れてくれば子ども自身でチェックできるようになります。
視覚的な支援として、イラスト付きのチェックリストを作るのも効果的です。「ランドセルに入れるもの」「筆箱の中身」「給食セット」など、カテゴリごとに分けて壁に貼っておくと、子どもが自分で確認しやすくなります。準備ができたら「できた!」シールを貼るなど、楽しく取り組める工夫も有効です。
学校での成功体験を家で褒める
学校で頑張ったことや、できるようになったことを、家でしっかり褒めることが大切です。「今日、先生から『最後まで座って授業を受けられたね』って聞いたよ。すごいね!」と、具体的な行動を褒めることで、子どもは「こうすればいいんだ」と学んでいきます。褒められた経験が積み重なることで、自己肯定感が育ち、問題行動も減っていきます。
逆に、学校でのトラブルを家で叱り続けるのは避けましょう。すでに学校で注意されている場合、家でも叱られ続けると、子どもは「どうせ自分はダメなんだ」と自信を失ってしまいます。家庭は子どもが安心できる場所であり、失敗を責められるのではなく、次にどうすればいいかを一緒に考える場であるべきです。
保護者が一人で抱え込まないための相談先
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー
多くの学校には、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが配置されています。スクールカウンセラーは心理の専門家で、子どもの心のケアや保護者の相談に乗ってくれます。スクールソーシャルワーカーは、福祉の専門家で、家庭の困りごとや福祉サービスの利用について支援してくれます。担任に直接言いにくいことも、こうした専門家を通して伝えることができます。
スクールカウンセラーは週に1〜2回程度の勤務が一般的なので、事前に予約が必要な場合があります。保護者だけでの相談も可能ですし、子どもと一緒に相談することもできます。「こんなことで相談していいのかな」と遠慮せず、小さな悩みでも気軽に相談してみましょう。
地域の発達支援センターや療育機関
各自治体には、発達に関する相談窓口として発達支援センターや子ども家庭センターなどが設置されています。こうした機関では、発達検査や専門家による相談、療育の紹介などを受けることができます。診断がなくても相談できるので、「グレーゾーンかもしれない」という段階でも利用できます。詳しくは「発達障害テスト: 症状と対策の理解するために」で解説しています。
また、放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、運動療育やソーシャルスキルトレーニングなど、子どもの特性に合わせた療育を受けることができます。学校以外の場所で成功体験を積むことで、自己肯定感が高まり、学校生活にも良い影響を与えることがあります。専門スタッフが家庭や学校との連携もサポートしてくれるので、心強い味方になります。
保護者同士のつながりや当事者の会
同じような悩みを持つ保護者同士のつながりは、大きな支えになります。地域の発達障がい児の親の会や、SNSのコミュニティなどで情報交換をすることで、「自分だけじゃないんだ」と安心できたり、実践的なアドバイスをもらえたりします。ただし、ネット上の情報はすべてが正しいとは限らないため、専門機関の意見も参考にしながら判断することが大切です。
保護者自身のメンタルヘルスも重要です。子どもの支援に熱心になるあまり、自分のケアを忘れてしまうと、心身ともに疲弊してしまいます。時には息抜きをしたり、信頼できる人に愚痴を聞いてもらったりすることも必要です。保護者が元気でいることが、子どもにとっても最良のサポートになります。
よくある質問
ADHDの診断がまだない場合、担任の先生に特性について話すべきですか?
診断がなくても、子どもが学校生活で困っている様子があれば、具体的な行動や場面を伝えることは有効です。「発達の特性があるかもしれないと相談中です」「こういう場面で困りやすい傾向があります」といった伝え方で十分です。診断名よりも、どんな配慮が必要かを具体的に共有することが大切です。
担任の先生に何度伝えても理解してもらえないときはどうすればいいですか?
まずは学年主任や特別支援教育コーディネーターに相談してみましょう。担任一人では対応が難しい場合でも、学校全体でサポート体制を組むことで改善することがあります。また、スクールカウンセラーや外部の専門機関を通じて学校に働きかける方法もあります。保護者だけで抱え込まず、第三者の力を借りることが重要です。
学校でのトラブルを家で叱るべきですか、それとも叱らない方がいいですか?
すでに学校で注意されている場合、家で繰り返し叱ると子どもの自己肯定感が下がる恐れがあります。まずは子どもの言い分を聞き、「どうすればよかったと思う?」と一緒に考える姿勢が大切です。感情的に叱るのではなく、具体的にどう行動すればよいかを教えることで、次の場面で活かせる学びにつながります。
通級指導教室の利用を勧められましたが、子どもが嫌がっています。どうすればいいですか?
まずは子どもと一緒に見学に行き、実際の様子を見せることが有効です。「ここでは得意なことを伸ばせるよ」「困っていることを一緒に練習できるよ」とポジティブに伝えましょう。無理強いせず、子ども自身が「行ってみたい」と思えるような動機づけを大切にすることで、スムーズに利用開始できることが多いです。
放課後等デイサービスを利用していることを学校に伝えた方がいいですか?
積極的に伝えることをお勧めします。デイサービスでの支援内容や子どもの様子を学校と共有することで、学校での対応に活かしてもらえることがあります。事業所のスタッフが学校訪問をして情報交換することも可能です。学校と療育機関が連携することで、一貫した支援が受けられ、子どもの成長を多方面から支えることができます。
先生との面談で緊張してうまく話せません。準備のコツはありますか?
事前に伝えたいことをメモにまとめておくと、当日緊張しても要点を忘れずに伝えられます。「子どもの困りごと」「家庭での工夫」「お願いしたい配慮」の3点を箇条書きにした1枚のメモを用意し、面談時に手渡すのも効果的です。また、面談の最後に「今日の内容を整理してまたご連絡します」と伝え、後日改めて文書で要点をまとめて渡す方法もあります。
子どもが学校でのトラブルについて話したがらないときはどうすればいいですか?
無理に聞き出そうとせず、子どもが安心して話せるタイミングを待ちましょう。お風呂や寝る前など、リラックスした場面で「今日、何か困ったことあった?」と軽く聞いてみるのも一つの方法です。また、連絡ノートや担任との面談で学校での様子を把握し、必要に応じて「先生からこんなふうに聞いたよ」と話題にすることで、子どもが自分から話し始めることもあります。


