学校で困ることは、お子さんの障害の程度やカテゴリによっても変わります。

  • 授業中に立ち歩いてしまう
  • 授業を聞かないで他のことを考え始めてしまう
  • 宿題をやり忘れたり、頻繁に忘れ物をしてしまう
  • コミュニケーションがうまく取れず、友達ができずに孤立してしまう
  • かんしゃくをおこしたり、暴力を振るってしまう
  • 頭ではわかっていても文字の読み書きがうまくできないために、不当な成績を付けられてしまう
  • ほかはできるのに、なぜか算数の計算だけがうまく出来ない

発達障害と一概に言っても、その症状や程度は人によってさまざまです。ここからは、症状の大まかな分類を見ていきましょう。

 

症状の大まかな分類

発達障害のカテゴリは、大きく分けると3種類に分かれます。「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」、「自閉症スペクトラム(ASD)」、「学習障害(LD)」です。
いわゆる「発達障害」のある人というのは、これらのうちの1つ、あるいは複数を同時に持っています。

ここで、前の「発達障害の子どもが学校に行くと困ることは?」の項目で挙げたさまざまなケースを、由来する発達障害のカテゴリごとに分類してみます。

ADHDの症状として挙げられるのは、授業中に立ち歩いてしまったり、授業を聞かないで他のことを考え始めてしまったり、忘れ物を頻繁にしたりといった行動です。

自閉症スペクトラムの症状として挙げられるのは、コミュニケーションが苦手だとかかんしゃくを起こしてしまったりといったものです。

LDの症状として挙げられるのは、文字の読み書きが苦手だったり、計算がうまくできないといったものです。

このあとの項目では、3つの発達障害についてくわしくご紹介いたします。

 

ADHDについて

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の症状は、大きく分けると「不注意」、「多動・衝動性」。
ADHDの人でも、不注意のほうが強いタイプと多動・衝動性が強いタイプにさらに分けることができます。

不注意が原因で生じるのは、

  • 忘れ物が多い
  • 注意力が散漫になってしまう、集中できない
といった症状。

 

多動・衝動性が原因で生じるのは

  • 落ち着きが無い、動き回る
  • 突発的に行動をとってしまう
といったもの。

学校ではこれらの症状から不真面目な生徒ととられてしまう可能性が高く、お子さんが自信を失う原因にもなってしまいます。

ADHDのお子さんがいるおうちの方は、お子さんの障害の特性を理解して接するようにしましょう。たとえば、親子で学校のスケジュールや宿題、持ち物を確認したりするのもおすすめです。
学校に障害のことをあらかじめ伝えておき、先生に配慮をしていただくという手もあります。

 

自閉症スペクトラムについて

自閉症スペクトラム(ASD)の症状として代表的なものは、人とのコミュニケーションが苦手、こだわりが強い、感覚過敏といったものです。

コミュニケーションが苦手という特性からは、
・相手の反応を無視して好きなことを話し続けてしまう
・相手の心情が分からず、普通に話しているつもりなのに相手を傷つけてしまう
・空気が読めない
などといったものが考えられます。こういった症状は、周囲から孤立してしまう原因になります。

こだわりが強いという特性からは、

  • 同じことを繰り返す
  • 融通が利かない
  • かんしゃくを起こす
  • 特定の狭いカテゴリに強い興味を示す
といったものがあげられます。

また、この特性のうち、

  • 過集中(のめりこみすぎて周りが見えなくなる)
はいわゆるゲーム依存、ネット依存を引き起こす原因にもなります。

感覚過敏というのは、

  • 極端にまぶしく感じる(視覚過敏)
  • 極端にうるさく感じる(聴覚過敏)
  • 特定の味・食感が苦手(味覚過敏)
  • 特定の匂いが苦手(嗅覚過敏)
  • 特定の服の素材などに敏感(触覚過敏)
といったもの。

自閉症スペクトラムについても、おうちの方の手助けや学校のサポートが重要です。
おうちの方は、スケジュールに注意を払ったりするようにしましょう。ゲームやインターネットに関しては、ひとまず制限時間を設けるのも手です。プレイ時間のタイマー機能がゲーム機に搭載されている場合もあるので、調べてみましょう。

また、興味を持ったことにはとことん取り組ませてあげることも大切でしょう。かの有名なトーマス・エジソンやアルバート・アインシュタイン、レオナルド・ダ・ヴィンチといった有名な科学者や芸術家たちにも自閉症スペクトラムに分類される障害があったといわれています。こだわりの強さは、お子さんの強みとして活かすこともできます。

お子さんとよく話をして、自宅などの環境を整えるのも大事です。
コミュニケーションの感覚は難しいものです。先生にもあらかじめ伝えておくと良いでしょう。

 

LDとは

学習障害(LD)は、文字の読み書きや計算が苦手という特性を持つ障害です。

文字を読めても書くことはできない、他の科目はできるのに算数だけが苦手というように、特定の一分野あるいは複数の分野にわたって問題を生じます。そのため、小学生になって本格的な教科学習に入るまでは判断が難しいとされています。先生からのサポートも不可欠です。

ハリウッドで活躍しているトム・クルーズにも学習障害による失読症(文字を読むのが苦手)がありますが、第三者の方に台本を音読してもらうことでセリフを覚えていらっしゃるそうです。
最近は、デジタルデバイスを使った音声読み上げ等を活用してLDのお子さんをサポートすることもできます。

「もしかして発達障害かな?」と思ったらまずは以下のチェックリストからチェックしてみましょう。

  • 公共の場で走り回ることがある
  • 食事の途中や集団行動中にその場を離れることがある
  • 物をよくなくす
  • 座っていてもそわそわ、ごそごそしている
  • 他の子どもと比べて大声を出してはしゃぐ、騒がしい
  • 昼寝をあまりしない、休憩時間でも動き回っている
  • 数字や文字を書くのが苦手
  • 友達が少ない
  • 初めての場所、出来事が苦手
  • 特定の話題、活動の話ばかりする
  • 勝ち負け、順位にやたらこだわりがある
  • 予定の変更に対応するのが苦手

チェックリストに多く当てはまったからといって発達障害の診断結果にはなりません。まずはお近くの心療内科で発達障害の診断を受けさせてみてください。また、一歳児検診や三歳児検診の機会で医師に診断を受ける方法を確認するのも手です。

発達障害は治すべき「病気」ではなく、むしろ一生付き合っていくことになる「個性」のようなものです。
周りの方の理解が不可欠ですし、将来的にはお子さん自身も理解して、工夫して生きていくことが重要です。
発達障害による症状は、見方を変えればお子さんの強みとして活かせることも多々あります。歴史に名を残す科学者や芸術家、また現在活躍している芸能人たちもいます。
そして将来学校に行ったときのクラスメイトに複数人いることもあります。

発達障害があるという人は決して少数派ではありません。同じ悩みを持つお子さんやおうちの方との交流が励みになったり、情報交換の場になったりすることもありますので、コミュニティを探して所属するのもお勧めです。
なるべく早めに診断を受けて、発達障害の疑いがある場合は適切なサポートを受けさせるようにしましょう。

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